ウイスキーについては他で触れていますので、ここでは割愛致します。ウイスキーをを除く蒸溜酒について触れておきます。
焼酎、泡盛、白酒、ソジュなどの蒸溜酒はご提供する予定はありませんので、簡単に触れておきます。
■世界三大蒸留酒
ウイスキー、ブランデー、白酒(バイジュウ)は、世界三大蒸留酒といわれています。
ちなみに、世界三大醸造酒は、日本酒、ビール、ワインです。
お酒の世界の消費量順位(2022)は、上位から牡蠣の通りです。
①ビール
②ワイン
③リキュール
④白酒(バイジュウ)
⑤ウイスキー
⑥ウォッカ
⑦サイダー(シードル)
⑧ラム酒
⑨ジン
⑩テキーラ
■白酒
白酒(バイジュウ、パイチュウ)は、中国発祥の蒸留酒です。背の高いモロコシの一種、「高粱(カオリャン)」をメインに、トウモロコシや黍(キビ)、麦などの穀物を原料とする蒸溜酒です。「焼酒(ショウシュ)」あるいは「火酒(カシュ)」とも呼ばれます。一般にアルコール度数が50度程度と高い商品が多いです。中国では最もポピュラーなお酒ですが、最近では、若者離れが進んでいるようで、アルコール度数の低い商品も出ています。色は透き通った透明です。中国では白酒の「白」は「無色透明」という意味です。白酒は長期熟成させるため口当たりはまろやかで、甘く濃い強烈な芳香があり、飲み干してもなお香りが強く残るお酒です。様々な種類が発売されています。
■ソジュ
ランク外ですが、朝鮮半島の伝統的な蒸留酒である韓国の蒸溜酒(韓国焼酎)「ソジュ」も人気です。日本では、「チャミスル」や「鏡月」などの商品名で販売されています。「JINRO」も日本向けの韓国焼酎です。ソジュは、原料に規定がなく、複数の材料を使用し、加糖や香料、酸味料などのフレーバーが添加されている商品が多いなどの違いはありますが、製造方法はほぼ同様です。ただ、アルコール度数が低い(15度~20度)ものが主流です。
■スピリッツ
スピリッツとは蒸溜酒全般を指す名称です。広義としてはウイスキー(主に大麦麦芽)やブランデー(主にワイン、葡萄)もこのカテゴリーに入りますが、通常はそれ以外を指します。
ジン、ウオッカ、ラム、テキーラは、世界四大スピリッツといわれております。
下記で、その概要に触れておきます。リキュールについても触れておきます。
世界四大スピリッツ
①ジン
蒸留酒にジュニパーベリーなどのボタニカルといわれる植物成分で香りづけ、英国・オランダ・ドイツなどでつくられています。ジュニパーベリーとは、「杜松果」とは外観は「ブルーベリー」に似ていますが全く別物です。西洋料理で香辛料として使用されます。古くからジュニパーベリーには、利尿や解熱作用の薬効があることが知れられており、これは普通に飲んでも美味なため本来の薬用酒としての用途を越え一般に広まりました。
ジンは、マティーニ、ギムレット、ネグローニ、トムコリンズ、ジントニック、ジンライムなど多くのカクテルベースとして使用されています。RTDカクテルやRTSカクテル市場も大幅に拡大しています。
ウィルキンソン、ビーフィーター、ヘンドリックスジン、ボンベイサファイア、シーグラムなどのブランドがあります。
ジンは、日本ではサントリーが、2024年2月7日、ジンに関連したビジネスを強化する方針を発表しました。2030年に国内ジン市場を2020年比で6倍以上、2023年の2倍以上となる450億円規模に拡大させるという目標を掲げました。現在は、”翠”、“ROKU”を発売しており、急成長の市場です。輸出も好調で、蒸溜酒では焼酎を抜いて、大幅拡大です。当店では、京都蒸溜所の京都ジンを中心にご提供致します。
ジンについては、主な種類について少し触れておきます。
・ドライ・ジン(Dry Gin)
ロンドン・ジン、イングリッシュ・ジンなどとも呼ばれイギリス、ロンドンが主産地。日本でも2016年からジン専門の京都蒸溜所が製造・販売を始めました。
・イェネーバ(Jenever)
現在でもオランダで作られている、より原型に近いジン。オランダ・ジンとも呼ばれます。原料を糖化、醸造した液体に副材料を加え、単式蒸留します。
・シュタインヘーガー(Steinhäger)
生のジュニパーベリーを発酵して作られます。ドイツ産のジン。ドライ・ジンよりは控え目な風味を持っています。
・オールド・トム・ジン(Old Tom Gin)
ドライ・ジンが作られるようになる以前、雑味を抑えるために砂糖を加えたジンです。カクテルのトム・コリンズは本来このジンを材料としています。
※スロー・ジン(Sloe Gin)(リキュール)
ジンで使われるジュニパーベリーの代わりにスローベリー(Sloe berry、スピノサスモモの果実)を副材料とするアルコールです。「ジン」と名が付いてはいますが、スピリッツではなくリキュールの一種とります。
■ウォッカ
蒸留酒を白樺炭で濾過し、無味無臭無色、高度数、ロシア・ポーランド・アメリカなどでつくられています。
スピリタス、ズブロッカは、ウォッカの一種です。
■ラム
サトウキビが原料の蒸留酒、甘め、キューバ・プエルトリコ・バハマなど西インド諸島、カリブ海原産でつくられています。
ロンリコ、レモンハート、デメララ、ハバナクラブ、ロンサカパなどのブランドがあります。
■テキーラ
竜舌蘭(Agave, アガベ/アガヴェ)が原料の蒸留酒、メキシコでつくられています。
ドンフリオ、ホセクエルボ、パトロンなどのブランドがあります。
■リキュール
果実、香草、薬草などで風味づけをし、さらに甘みなどを加えた蒸溜酒です。 リキュールは各国によって定義が異なるうえ、その数が膨大であることから、分類するのは難しいのですが、香味成分から大きく4つに分けられることがあります。
①果実系(フルーツ系)
キュラソー、カシス、梅酒など
②種子系(ナッツ系)
アマレット、マリブなど
③薬草・香草系(スパイス・ハーブ系)
カンパリ、アブサンなど
④特殊系(ミルク・クリーム)
クリーム、ヨーグルト、チョコレートなど
■ブランデー
果実酒からつくった蒸留酒の総称です。
語源はオランダ語の「焼いたワイン」を意味する「brandewijn」です。
主に白ブドウのワインを蒸留して樽に入れ、熟成して製造する(熟成期間は5 – 8年。種類によっては25年以上熟成させます。熟成させすぎたものは新しいものとブレンドして若返らせる場合もあります)。単にブランデーと言った場合は通常ブドウが原料のワインを蒸留して作られたものを指すが、リンゴから作ったアップル・ブランデーやサクランボから作ったチェリー・ブランデーも存在します。アルコール度数は主に40度弱から50度程度です。
■地域別のブランデーの種類
・コニャック
フランスのコニャック地方で造られたブランデーです。
有名なコニャックは、香り高いブランデーです。コニャックを名乗ることができるのは、フランスのAOC(原産地統制呼称)の条件を満たした品質が保証されたものだけです。ユニ・ブランを代表とする白ぶどうを使い、単式蒸留器で2回の蒸留、最低2年以上、オーク樽で熟成させています。コニャック地方の生産でないブランデーはコニャックと呼べません。
・アルマニャック
フランスのアルマニャック地方で造られたブランデーです。
フランス最古のリキュールでもあるアルマニャックは、力強さのあるブランデーです。アルマニャックもAOCの条件を満たして品質保証されてものだけがアルマニャックと呼ばれます。
ユニ・ブランを代表とする白ぶどうを使い、連続式蒸留器で1回の蒸留、1年以上樫の樽で熟成させています。
アルマニャック地方の生産でないブランデーはアルマニャックと呼べません。
・フレンチブランデー
フランス産のブランデーの総称がフレンチブランデーです。
コニャックやアルマニャックもフランス産なので、フレンチブランデーとなりますが、 一般的にコニャックとアルマニャック以外のブランデーを指すことが多いです。
AOCの条件など決められているわけでないので品質や原材料もさまざまです。
・ピスコ
ペルー原産のぶどう果汁を発酵させてできたワインを蒸留して造られたブランデーです。
■ポマースブランデー
ポマースブランデーとは、ワインの醸造後に出る発酵後のブドウの残りかすである「ポマース」を蒸留して作ったお酒を指します。ポマースブランデーは日本では粕取りブランデーと呼ばれており、伝統的な蒸留酒として様々な地域で作られています。辛口でフレッシュな味わいが特徴です。
ポマースブランデーは古くから世界中で作られてきたお酒です。蒸留技術が伝わると、ワイン醸造の文化がある地域の多くではポマースブランデーが作られ始めたと言われています。
そんなポマースブランデーの種類は以下のとおりです。
・グラッパ(イタリア)
・マール(フランス)
・ラキヤ(ブルアリア)
・オルホ(スペイン)
・ジヴァニア(キプロス)
・チャチャ(グルジア)
・トレスター(ドイツ)
・チプロ(ギリシャ)
上記の8種類以外にも世界には多くの種類のポマースブランデーがあり、それぞれに特徴が異なります。そこで、「グラッパ・マール・ジヴァニア・オルホ」と呼ばれる代表的なポマースブランデーの種類と特徴をご紹介しますので、ブランデー選びの参考にしてみて下さい。
■原料別のブレンデーの種類
・アップルブランデー(カルヴァドス)
りんごを原材料にしたブランデーですが、西洋なしも使っていることが多いです。
甘く華やかな味わいのブランデーです。カルヴァドスが有名です。
但し、カルヴァドスを名乗ることができるのは、フランス・ノルマンディー地方産のアップルブランデーのみです。
・キルシュヴァッサー
種子ごと粉砕したさくらんぼを原料にしています。
ドイツのシュバルツバルト地方で作られるブランデーです。
フランスのアルザス地方では「キルシュ」と呼ばれています。
・フランボワーズ
木いちごを原料としてフランスで造られるブランデーがフランボワーズです。ドイツでは、「ヒンベアー」と呼ばれます。
・スリヴォヴィッツ
スモモを原料として造られるブランデーです。
生産国によっていろいろなな呼ばれ方がされますが、プラム・ブランデーと呼ばれることが多いです。主に東欧や中欧で生産されています。
深い味わいは、まさにコニャックの最高傑作です。バカラ社製クリスタル・デキャンタが、その魅力をさらなるものとしています。
・バラック・パリンカ
アンズを原料として造られるブランデーです。主にチェコやハンガリーで造られているアプリコットブランデーを指しますが、 アンズを漬けただけのリキュールをアプリコットブランデーと呼ぶこともあるので購入時は、製造法などチェックが必要です。
・ポワールブランデー
洋なしが原材料のブランデーです。ポワールとはフランス語で洋なしのことです。
■ブランデーの熟年数の表記
ブランデーでは、ブレンドした原酒中で最も古いものの熟成年数を表す符号が一般に用いられています。
ただし、これは製造国・製造元、コニャックやアルマニャック等の特定名称によって異なります。
①1つ星
3 – 4年熟成させたブランデー。
②2つ星
5 – 6年熟成させたブランデー。
③3つ星
7 – 10年熟成させたブランデー。
コニャック・アルマニャックの場合は、蒸留後最低でも3年を経た原酒を使用したものだけが表示可能です。
④VO
very old (とても古いブランデー)。
11 – 15年熟成させたもの。
⑤VSO
very superior old (とても優れた古いブランデー)。
16 – 20年熟成させたもの。
⑥VSOP
very superior old pale (とても優れた古い澄んだブランデー)。
20 – 30年熟成させたもの。
コニャック・アルマニャックの場合は、蒸留後最低でも5年を経た原酒を使用したものだけが表示可能です。
それ以上のグレードになると、通常は下記の称号が与えられており、等級別に価格がさらに上がっていきます。
⑦VVSOP
very very superior old pale (とてもとても優れた古い澄んだブランデー)。
ナポレオンクラス – XOクラス – エクストラクラス。
44 – 45年(XO)、70年(エクストラ)熟成させたブランデー。
extra old(特別に古いブランデー)。
コニャック・アルマニャックの場合、蒸留後最低でも7年を経た原酒を使用したもののみ表示可能です。
コニャックやアルマニャックの場合、これらの称号は原酒が一定時間熟成されていなければ名乗ることは出来ないよう全国コニャック事務局(BNIC)や全国アルマニャック事務局(BNIA)において厳しく規制されていますが、それ以外のブランデーについてはラベル表示に関して何ら規制はありません。このため、同じナポレオンと名乗っていてもメーカーによっては価格に10倍以上の開きがあり、品質も雲泥の差があります。たいてい無名のブランドのナポレオン等は2000円前後で箱無しや粗末な瓶に入って売られている場合が多いのですが、これらの多くは上記の規制のないフレンチブランデーであり、必ずしも長期熟成を経たものではないので注意が必要です。総じて高級品ほど瓶や箱が贅沢にできており、味もスムーズです。プレミアムコニャックの場合5万円以上して、数十年熟成されたものもあります。
コニャック・アルマニャックがフランスの酒にもかかわらず等級名が英語であるのは、過去の、特に18世紀の、重要な輸出相手国がイギリスであったことによります。