空き区画対策から事業再構築補助金、この街を良くしたいとの思いから、ちょっと、とんがった店かもしれませんが、チャレンジします。
空き区画対策で考え始めたことでしたが、経産省の事業再構築補助金に応募することがきっかけでいろいろと検討しました。最終的には、以下に記載する経緯で出店に至りました。
この街に必要で、採算の採れる業態はなかなか難しいことがよくわかりました。しかし、いろいろとチャレンジすることは必要だと思いますので、末永く営業を続けられるように頑張ります。
また、当初は、単純にジャズ喫茶&バーと考えていましたが、準備を進める中で、ウイスキーを中心とした商流も難しい状態であることもわかりました。簡単にいうと、一般の酒小売店に並んでいない山崎・白州・響・余市・厚岸などなど、ウイスキーが好きな方に人気のあるウイスキーなどの商品は、入手が非常に困難であるということです。ほぼ入らないといっても過言ではない状態です。需要と供給のバランスが崩れていることと、海外での評価や人気が高いので、海外へ流れていることが原因のようです。それでも何とか模索して、何とか入るルートを見つけることの出来た商品もありますが、未だ苦戦中の商品もあります。
■空き区画対策
コロナ禍において、近隣の多くの店舗様が退店されました。
当該区画も約3年という長い月日の間、出店者様がありませんでした。
ここ豊田市駅前への出店は、出店者様側からすると魅力のない地域のようで、リーシングをしても出店者様の無い状況でした。
そこで、少人数での営業が可能で、ランニングコストが安価なコインランドリー、買取ショップなど、様々な業態を検討しましたが、最終的に、賑わいの観点から飲食店が必要であると判断しました。採算性は、とても難しい業態であることも承知はしておりますが、施設の賑わい、活性化の観点から飲食店としました。
しかし、普通に飲食店を営業しても長くは続かないことは明白です。よって、会員制と屋外テラス席の設えを充実させることとしました。但し、屋外テラス席は当店の「屋外客席」ではありません。当店に関係なくご利用可能なフリースペースです。また、当店の酒類を店外へ持ち出すことは法的に出来ません。当店ご利用時に限り、帰り際にノンアルコール飲料をテイクアウトすることは可能です。当店をご利用後、もう少し、談笑したい場合等にご利用下さい。
■事業再構築補助金
運良く、経済産業省の事業再構築補助金に採択されたこともあり、イニシャルコストの一部を補助金にてまかなうことが可能となったことが最終的に出店を決めた理由です。事業再構築補助金の採択については、アフターコロナの時代でも生き残っていけるように、可能な限り人的な接触の低減、換気設備の充実、先進的なIT機能を採用、人に頼らない少人数でのオペレーション、キャッシュレス化、事業価値、ファンベースビジネス、事業継続性(BCP)などを検討しました。現在の社会では、流行り廃りが早く、趣味嗜好も多岐に渡ることから、万人受けする業態は諦めました。また、フードロスの少ない業態、無駄な人員を配置しない業態とするなど、ランニングコストを抑えた営業形態を検討致しました。結果、会員制としました。正直、この地域では難しい、無謀だという意見も多かったです。それでも会員制とした理由は、これだけ飲食店の入れ替わる地域では、会員制でなくても長く営業することは無理と判断したためです。しかし、会員制としての、会員様のメリットをどうするかが課題でした。そこで、文化、高品質な空間、ステ-タス性、希少性、限定性、継続性をキーワードとして検討しました。
■まず文化とは?
わかるようでわからないので整理しておきます。
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第25条第1項には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。「衣食住が満たされたあとに文化が生まれる」という方もいらっしゃるので、「文化的な最低限度の生活」とは、生きていくうえで必要な最低限度の衣食住の生活以上ともいえるかもしれません。ここで、その議論をするつもりもありませんが、「文化」は特別に裕福な方の特権ではなく、ほとんどの日本国民が有する権利とはいえそうです。
文化の定義らしき内容については、文化庁のホームページに次の記述があります。
「文化は、最も広くとらえると、人間が自然とのかかわりや風土の中で生まれ育ち身に付けていく立ち居振る舞いや、衣食住をはじめとした暮らし、生活様式、価値観など、人間と人間の生活にかかわることの総体を意味します。」そして、「文化は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものであり、豊かな人間性を涵養(かんよう、養成すること)する上で重要です。また、正義感や公正さを重んじる心や、他人を思いやる心などは文化を大切にする環境の中で培われます。」とあります。
また、文化庁ホームページには、文化の意義について以下のように記載があります。
(1)人間が人間らしく生きるための糧
文化は、人々に楽しさや感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするとともに、豊かな人間性を涵養し、創造力をはぐくむものである。豊かで美しい自然の中ではぐくまれてきた文化は、人間の感性を育てるものである。
(2)共に生きる社会の基盤の形成
文化は、他者に共感する心を通じて、人と人とを結び付け、相互に理解し、尊重し合う土壌を提供するものであり、人間が協働し、共生する社会の基盤となるものである。
(3)質の高い経済活動の実現
文化の在り方は、経済活動に多大な影響を与えるとともに、文化そのものが新たな需要や高い付加価値を生み出し、多くの産業の発展に寄与し得るものである。
(4)人類の真の発展への貢献
科学技術や情報通信技術が急速に発展する中で、倫理観や人間の価値観にかかわる問題が生じており、人間尊重の価値観に基づく文化の側からの積極的な働き掛けにより、人類の真の発展がもたらされる。
(5)世界平和の礎
文化の交流を通じて、各国、各民族が互いの文化を理解し、尊重し、多様な文化を認め合うことにより、国境や言語、民族を超えて、人々の心が結び付けられ、世界平和の礎が築かれる。
文化には、伝統文化、企業文化、大衆文化、アニメ文化、欧米文化、日本文化、オタク文化、ジャズ喫茶文化、などなど・・・さまざまな文化があります。嗜好品文化も、そのひとつです。
■嗜好品文化に触れるきっかけ
筆者は、お恥ずかしながら、文化的とはほど遠い無趣味な人間です。しかも、コーヒーや紅茶を飲まず、お酒も飲まず、音楽にも興味がなく、たばこも吸わない、つまらない人間です。おまけに貧乏です。ただ、BARの雰囲気は好きでした。しかし、お酒を飲まないのにBARへ行きづらく、BARは高いし、なかなか行けない場所でした。筆者は、お酒を美味しいと思ったことも、飲みたいと思ったこともありません。出来れば、宴会などでも、お酒を飲まないでも済むように逃げていました。しかし、コーヒー、紅茶、お酒、たばこ、音楽などを好む方が多いのも事実です。長い年月を経て伝統や文化として発展をし、定着をしてきたことも事実です。その理由は何だろうかと考えました。私が、本当に美味しいもの、良いものに出会ってないだけなのかもしれません。そのようなチャンスがなかっただけなのかもしれません。そこで、多くの方に、そのきっかけ、チャンスとなる場所にしようと決めました。文化とは、流行り廃りではありません。当然、好みはあります。しかし、特別に裕福な方の特権でもありません。一応商売ですので、潰れてはいけませんので、会員制とさせて頂きますが、会員にさえなってしまえば、会費さえ払えるように頑張れば、あとは少しのお小遣いでも、お酒を飲まなくても、BARの雰囲気を感じられる店にしたかったのです。そして、人類の文化の一部に触れて頂き、さらなる文化の発展に寄与して頂けると嬉しいです。当店で、一服して、心のリセットをして頂き、また、明日からの生活に、仕事に、活力を養って頂けたら幸いです。そして、日本が再度元気になって、高度経済成長期やバブル経済の時代のような活気が出てくることを願っております。
■高品質な空間
「東京の超高級ホテルの中のBAR」、とまではいきませんが、可能な範囲で頑張りました。捉えた方はそれぞれあると思いますので、悪しからず。落ち着いた、昔ながらの、オーセンティックな雰囲気を目指し、何度も手直しを行ない、1年近い試行錯誤の上、重厚感のある古き良き時代を彷彿とさせる非日常的な空間を目指しました。気に入って頂けますと嬉しいです。
■ステータス性
ステータス性は、価値観が多様化している現在、人それぞれの感じ方や価値観があると思いますが、必ずしもお金にゆとりのある方がターゲットではなく、趣味嗜好・価値観がマッチした方にとって満足感の得られる場所とすることを目指しました。
例えば、お酒であれば何でも良い、質より量だ、日本酒が好きだ、お酒は騒ぐために飲むものである、といった価値観の方にとっては、当店ではご満足頂けないかも知れません。
「BAR(バー)」へ行く理由をリサーチしますと、上位から「バーテンダーとの会話」「単純にお酒が飲みたい」「ゆっくりと誰かと話しをしたい」「ひとりで考え事をしたい」です。そして、「ひとりで利用する」が圧倒的多数です。当店は、最終的には、「会話をせずにひとりでお酒を嗜む」ことの出来る空間としました。同伴者様は1名様はOKとしました。理由は、アフターコロナにおいて、人との接触を少なくすることです。また、会話を楽しみたい方もいらっしゃいますが、そうでない方もいらっしゃるのも事実です。会話を楽しめるお店は、近隣にも多くありますので、そちらをご利用して頂き、当店は、「おひとり様」「もしくは大切な方との時間」を過ごせる空間を目指しました。そもそも、ウイスキーなどの嗜好品やBARに興味や関心のない方にとっては、費用対効果の少ない店かも知れません。ただ、必要とされている方が少なからず、潜在的にもいらっしゃるとすれば、そのような方にとって、サードプレイス(third place)となる大切な場所で、ステータスを感じて頂ける店となるよう努めて参りたいと思います。ちなみに、BGMの音量は大きくしています。同伴者の方との会話がかろうじて可能な大きさです。
■希少性
稀少性は、ウイスキー、ワイン、カクテル、ノンアルコールカクテル、コーヒー、紅茶、ジン、葉巻、JAZZなどなど、どれをとっても文化として定着し、商品の選択肢も無限大にあります。全ての銘柄・ブランド・商品をご提供することは不可能です。よって、一般的な小売店では入手困難なものを中心に取捨選択してご提供することで、他の店では味わうことの少ない商品を中心にご提供することを目指して参ります。ウイスキーはジャパニーズウイスキーやオールドボトル、ワインはちょっと高め、コーヒーはマイクロミル、などなど希少な商品を中心に揃えて参ります。ただ、安価な有名なウイスキーなど、懐が寂しい時にもご利用して頂ける店を目指しております。しかし、キューバ―産のシガー(葉巻)、特定のウイスキーなど、ほんとに入手出来ない商品も多々あります。頑張って仕入れるように努力は致しますが、継続的に入手することはほぼ不可能な商品も多いので、ご了承下さい。しかも、高価です。
■限定性
限定性については、会員数は少数とします。これは、席数が8席(4ペア×2名=8名)と少ないので、予約が取れるようにするために会員数も少数ととなります。その代わり、朝10:00~深夜24:00まで、年中無休にてご予約可能ですので、昼までも平日でもご利用下さい。
■継続性
継続性については、会員制である以上は、臨時休業も出来ませんので、マスターバーテンダーが体調不良の場合でも、営業可能な状態にする必要があります。この先数十年と営業していく所存ですので、スタッフの世代交代にも対応出来るように、出来るだけ人に頼ったオペレーションを排除しました。コンビニエンスBARとまではいきませんが、出来るだけ人に頼らないオペレーションで高品質な空間とお酒などをご提供可能な店を目指して参ります。
■コンビニバー
最近、都会を中心に「コンビニバー」が出来ているようですが、目指すのは、似て非なるコンセプトです。オペレーション的に目指すのは良く似ている部分もありますが、雰囲気や品質、ハードルは高く、紳士淑女の集う場所を目指しました。富裕層の方ではなく、当店のコンセプトをご理解して頂き、趣味嗜好がマッチした方に末永くご愛顧頂ける店にしたいと考えております。